サンタがくれたプレゼント、サンタにあげたプレゼント

 

 

私はクリスマスが大嫌いだ。

 

だってクリスマスはひとりぼっちだと実感させられるから。

 

 

 

 

 

今となっては大嫌いなクリスマスだが、小さい頃は本当にクリスマスが大好きだったんだ。

 

だって、子どもの頃はクリスマスにはサンタさんがきてくれるから。

 

そう、私は子供の頃、クリスマスの夜に本物のサンタさんと会っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

24日と25日の間、12時と0時の狭間、うとうとした私の耳にガサゴソ、トテトテといった物音や足音がした。

 

 

いつもだったら怖がっているけれど、クリスマスという特別な日だけはちがった。

 

 

うれしさのあまり飛びつきたい気持ちでいっぱいだったけれど、少しだけ我慢して聞いてみた。

 

 

「あなたは誰?私の部屋で何をしているの?」

 

 

「なーに言ってんだ!1224日、子どもが寝静まるころに現れるこんな格好した奴なんてひとりしかいないだろう」

 

 

「もしかして…サンタさん?」

 

 

「そのとーり!!へへ、びっくりしたか!?」

 

 

「…でも、わたしとおなじくらいの子どもじゃん」

 

 

「あぁ、世界の人間が昔に比べて増えてるからなぁ。俺もこうして親父の手伝いってしてるんだよ」

 

 

「やっぱりサンタさんの家族はみんなサンタさんなんだ!!!そうなのかなぁって想像してたところなんだよ!!」

 

 

「その通りじいちゃんのじいちゃんのそのまたじいちゃんのずっと前のじいちゃん、初代ニコラウスじいちゃんよりサンタクロースを受け継ぎし一族の末裔サン・ニコラウス!!どうだ、すげーだろ!!」

 

 

「すごいすごい!!」

 

 

「へへっ」

 

 

「じゃあさ、私へのプレゼントはなに!?」

 

 

「お前なぁ、こんな時間まで起きてる悪い子にプレゼントがあると思ってるのか?サンタはいい子にしかプレゼントをあげないんだよ」

 

 

「なにそれ!サンちゃんのいじわる!!」

 

 

「なっ!?サンちゃんって!?!?」

 

 

「だってサンって名前なんでしょ?」

 

 

「そうだけどさぁ…」

 

 

「サンタのサンちゃん…ふふ、覚えやすい」

 

 

「笑うなバカ!!もういい、俺は忙しいんだ!行くぞ」

 

 

「じゃあ、いいわ。来年期待して待ってるね。また会いましょ」

 

 

「何言ってんだよ、会っちまったらまたプレゼント渡せねえじゃねえか。ちゃんといい子にして眠ってたらプレゼント置いていってやるよ」

 

 

「そっか、そうだね……しょうがない、プレゼントはパパに頼む!だからまた会いましょう」

 

 

「…はぁ、そう言ってぐーすか寝てても起こさねえからな」

 

 

「大丈夫よ、絶対起きてるもの!!」

 

 

「しょうがねえなぁ、わかったよ。じゃあまた来年会おうな」

 

 

「うん、また来年!!」

 

 

 

 

これが、私と彼との出会いだった。1年に1回の短い短い物語。

 

何もくれないサンタさんの物語だ。

 

 

 

 

それからは毎年クリスマスイブが楽しみでしょうがなかった。

 

 

12時と0時の間に必ず彼はどこからともなく暗闇から現れ、

 

 

「よぉ、メリークリスマス!!」

 

 

そんな風に元気な声で話しかけてくれる。

 

 

私がうとうとしちゃってた年は、あれだけ「起こさないぞ!!」なんて言っていたのに、ちゃんと起こしてくれるのだ。

 

 

「メリークリスマスだぞ、今年も来てやったんだから起きやがれ」

 

 

なんてぶっきらぼうな言い方なのに、そっと、やさしく、肩に手を置いて揺り起こしてくれた。

 

 

そこから短い短い彼との笑いあう時がくるのだ。

 

 

クリスマスはなんで靴下にプレゼントを入れるのかとか、

 

 

クリスマス以外の日は何をしているのかとか、

 

 

そういうくだらない話ばかりしている。

 

 

あるクリスマスにこんなことを聞いてみた。

 

 

友達の家にもサンちゃんがくる時間とまったく同じ時間にサンタクロースが現れたけどどうしてかと尋ねたのだ。

 

 

そしたら、サンちゃんはいつも私のところでさぼるから他のサンタクロースが代わりに行ってるということらしい。

 

 

それを聞いたとき、ダメなサンタクロースだなぁと思いながらも、やっぱりうれしかった。

 

 

うれしかったらからその年のクリスマスもたくさん笑った。

 

 

そして帰るときにはいつも通り、いつものセリフ。

 

 

「じゃあまた来年な!!」

 

 

そう言って窓から飛び立っていくのだ。

 

 

サンタさんの友達…他の誰も持っていないとってもとっても、世界で一番素敵なプレゼントを私はもらっていることが誇らしかった。

 

 

 

 

 

私の身長が少し伸びると、彼の身長も少し伸びて、

 

 

たくさん伸びた年は、彼はもっと伸びていた。

 

 

少しずつ次第に大人びていく彼の顔はいつものサンちゃんなのに、

 

 

サンちゃんじゃなくなっていく。

 

 

だけどそれが嫌だとか、こわいとかそういうんじゃなくて、

 

 

小さいころからずっと一緒で、彼とともに大きくなってるってことがとてもうれしかったんだ。

 

 

とは言うものの、まだまだ子どもだった私はあるクリスマスにイタズラを使用と画策していた。

 

 

イタズラと言っても、起こされても寝たふりをして、起こすのを諦めて帰ろうとした瞬間に後ろから驚かすというなんとも可愛らしいものだ。

 

 

そしてついに待望の24日の夜となり、いつものあの時間が来た。

 

 

「メリークリスマス!!今年も来たぞ!!」

 

 

そう言っていつも通り急に現れる彼に気付かないふりをして、寝たふりを続ける。

 

 

揺り起こすために肩に置かれた手の感触が昔よりも大きくて力強かった。

 

 

「おーい、来てやったぞー…おーきーろー」

 

 

昔に比べたら声も低くなったなぁ。

 

 

目をつむっていると、それまで気付かなかったいろいろなことに気がついた。

 

 

そんなこんなしてるうちに、彼は諦めたのか、そっと手を離した。

 

 

よし、これで後ろを振り向いたら脅かしてやる。

 

 

けれどなかなか後ろを向く気配がない。

 

 

どうしたんだろう…。

 

 

そう思った瞬間耳元で、

 

 

「大好きだよ…」

 

 

彼の少し低くなった声でつぶやかれたのだ。

 

 

思わず大きく目を開いて彼を見てしまった。

 

 

きっと私の顔はサンタの服よりもよっぽど真っ赤になっていたと思う。

 

 

しかし、そんな私とは対照的に、彼は恥ずかしがる様子もなく、

 

 

驚いてはいたが…泣いていた。

 

 

そして、驚いた表情からほっとした表情になってさらに涙がぼろぼろとこぼれてきた。

 

 

私はどうしたの!?大丈夫!?!?ごめんね、驚かそうと思ってと言うと、

 

 

たった一言

 

 

「もう大人になったのかと思った…」

 

 

彼はぽつりとそう言った。

 

 

私はドキッとした。

 

 

私はその瞬間、彼に恋をしているのだと気がついた。

 

 

そして、この恋には終わりがあるのではないかと同時に気付いてしまったのだ。

 

 

「なぁ、俺を驚かそうとしてたみたいだけど、起きた瞬間お前すっごい驚いてたじゃん。これは俺の勝ちだろ」

 

 

そういう彼の顔はもういつもの笑顔に戻っていた。

 

 

「サ、サンちゃんも私が起きたときすごい驚いた顔してたから引き分けだよ!!」

 

 

そんな彼の笑顔と、こんなくだらないやりとりをしていたら、大人なんてまだまだ先の話だ…そんな風思えた。

 

 

 

 

けれど、一瞬だけの泣き顔…。

 

 

その一瞬を私は今でも忘れることができない。

 

 

 

 

それからのクリスマスは今まで以上に楽しみで仕方がなかった。

 

 

彼に会いたい。

 

彼の声が聴きたい。

 

彼の手に触れたい。

 

それが365日かけてこれでもかというほどに大きくなる。

 

 

けれど、そんな思いが募れば募るほど…怖くなってくる。

 

 

振られることが怖いわけじゃない。

 

 

現に私は彼に一度好きだと言われているし、

 

 

そんな言葉はなくとも、彼のことはなんとなくわかった。

 

 

私は彼のことが大好きだ。

 

 

理想の友人で、理想の男性て、

 

 

何もくれない理想のサンタクロース。

 

 

どこからともなく現れて、跡形もなく消えていく。

 

 

 

そう、私が怖いのは『彼が、大人になれば消えてしまう私の夢や幻なのではないか』

 

 

 

彼を好きだと思えば思うほど怖くなり、いつかは消えてしまうのではという怖さが彼への気持ちを募らせていく。

 

 

らせん階段のように、恋と恐怖はどんどんと膨れ上がっていった。

 

 

 

そして彼は次の年もまた来てくれた。

 

 

 

私はうれしくて、楽しくて、幸せで、恋をして…そして言ってしまった。

 

 

「私はサンちゃんのことが好きだよ。この世界の誰よりもサンちゃんが好き!サンちゃんの彼女になりたい!!いろんなところに一緒に行って、いろんな思い出を一緒に作って、サンちゃんと一緒に私は大人になりたい!!」

 

 

そう言うと、今度は彼が顔を真っ赤にして目を見開いた。

 

 

「だから一つだけ教えてほしいの。サンちゃんは幻なの?」

 

 

今思えば突拍子もない質問である。

 

とんだ馬鹿げた質問である。

 

笑い飛ばされるような質問である。

 

 

けれど彼は何も言わなかった。

 

 

気まずそうな笑顔のまま静かに黙っていた。

 

 

沈黙に耐えられないかのように、私の瞼を乗り越えて涙がはらりはらりと飛び出してきた。

 

 

なぜ聞いてしまったのだろう…それは失敗でしかなかった。

 

 

彼の笑顔にそう確信させられた。

 

 

 

「サンタクロースの秘密って知ってるか…?」

 

彼はそう尋ねた。

 

そして私は首を横に振った。

 

 

「俺はサンタクロースだ。子どもたちに夢と愛情を配るためのサンタクロース。

この世界には70億を超える人がいる。サンタを信じている子どもだけでもそれこそ何億という星の数にも劣らないほどいる。

そして僕達サンタは、その子どもたちの数だけ存在しているんだ。

理想のサンタクロースの姿をして…」

 

 

その話を聞きながら、涙はどんどん大きく成長して、どんどんと飛び出してくる。

 

 

「存在とは認知である。どっかの昔の偉い学者さんが言っていた言葉だ。

俺を俺として見てくれてるお前がいるから、俺は俺として存在できるんだ。

 

 

そんなお前が恋をした。

 

人を好きになる気持ちを知った。

 

 

そして、お前は俺が幻なんじゃないかと思った。

 

たぶんそれが…そういうことが、大人になったって証拠なだ。

 

大人になったお前の考えた通り、サンタクロースは幻になる」

 

 

 

 

私は彼に飛びついた…そして力いっぱい抱きしめた。

 

 

彼の胸が私の涙でぐちゃぐちゃになることも気にせず、力強く。

 

 

「これがサンタクロース唯一絶対の秘密。

大人のところにサンタが現れない理由だよ」

 

 

私は声をあげて泣き出していた。

 

 

少しずつ体温が感じられなくなっていく。

 

 

少しずつ声が遠くなっていく。

 

 

少しずつ彼が透けていく。

 

 

 

 

「なぁお前さ、素敵な大人の女になったよな…俺はお前の幻だった。

けどさ、お前を好きだって気持ちは間違いなく自分の気持ちだって思うんだ。

ただ一人の男として、俺はお前を好きになれた。

なんでかわかんないけど、それだけは絶対そうだって思うんだ…おかしいよな。

けど、それが今はすごい幸せなんだ…ずっとずっと大好きだった。

そして、ずっとずっと愛してる。俺は一生お前だけのサンタクロースだ」

 

 

 

「ずっと…」

 

 

 

「私も大好きだよ!!!!」

 

 

 

…そう言って顔を上げた瞬間彼の顔はほとんど見えなかったけれど、笑っていた気がする。

 

 

 

私の涙は一生分出たんじゃないかってくらい、いつまでもいつまでも流れ続けた。

 

 

 

 

 

これが私がクリスマスが嫌いになった理由、そして何もくれないサンタクロースの話だ。

 

 

 

綺麗で、切なくて、愛おしくて、悲しい物語の結末だ。

 

 

 

 

 

 

 

認知だの存在だの難しい話はよく分からないけれど、

彼の言ったことはたぶん本当のことなのだろう。

 

なんてったって本物のサンタクロースが言うのだから。

 

 

…だから私は彼のいうことを信じてみることにした。

 

 

 

なんてことはない、

「このまま綺麗で悲しいまま終わらしてなるものか!!泥くさくても楽しい話にして見せる!!」

 

 

そう思ったのだ。

 

 

 

それから何年も何年も勉強した。

 

 

 

受験も就職もそっちのけで勉強をした。

 

 

 

 

 

そして今夜、計画を実行するのだ。

 

 

楽しい話にするために…こんなお祭りみたいなことをするのだ。

 

 

 

 

 

24日と25日の間の12時と0時の狭間がもうすぐやってくる。

 

 

321…。

 

 

 

 

私はパソコンの画面をクリックした。

 

 

 

 

その瞬間世界中のテレビ、パソコン、携帯が真っ暗となった。

 

 

いや、正確には真っ暗な景色が映った。

 

 

そして、私が自分の携帯のカメラを空に向けると世界中のディスプレイに綺麗な星空が映った。

 

 

そして…そりにのった彼の姿が世界中のディスプレイに映ったのだ。

 

 

全世界同時ハッキングで緻密に創り上げた成長した彼の姿をこの星空とともに映し出したのだ。

 

 

 

あたかも本当に彼が、サンタクロースが、そこに存在しているかのように。

 

 

 

そして、世界中のディスプレイにこう文字を打ち込んだ。

 

 

『サンタを見つけたよ!!みんなのところからも空を見上げて!!見えたらここにメールして!!!』

 

 

彼が空を駆ける姿とともに文字とメールアドレスを映し出した。

 

 

 

 

もしかしたら…ひょっとしたら…

 

 

いや、もう20歳、本当に大人になっちゃった私のところには現れない…。

 

 

 

けれど、これで世界のどこかで彼を認知できるひとが現れるかもしれない。

 

 

 

 

そしたら彼がまたこの世界に現れるかもしれない。

 

 

 

…なぁんて、べつに本当にそう思っているわけではない。

こんな犯罪まがいなことまでしておいて言うのも何だけれど、ただちょっとしたイタズラ心というか、サンタクロースを信じる子どもたちへのちょっとしたプレゼント気分というか、勝手に消えてしまった彼へのあてつけというか、とりあえずそんな感じだ。

 

 

まぁ、そんなことのために何年も何年も青春を費やした私は正直バカだなぁとは思うけれど。

 

 

だから本当に誰かからメールがくるだなんて思っているわけじゃない。

 

 

 

現に、まだ私の手元のパソコンには一通のメールも届いていないのだから。

 

 

 

 

そう思ってパソコンを見るとピコンとメールが届く音がした。

 

 

「見えたよ!!」

 

 

そんなメールが届いた。

 

 

見も知らない、国すらも違う子どもからサンタが見えたとメールが来たのだ。

 

 

うれしさがこみ上げた。

 

 

彼がまたこの世界に現れた!大好きな彼がまた誰かのもとへ!!

 

 

寒い寒い冬なのに目頭だけは熱くなる。

 

 

静かに涙を流していると、二通目のメールが届いた。

 

 

「空を見上げたら映像と同じサンタが空を飛んでいた!!」

 

 

三通目

 

「すっごい!サンタってホントにいたんだ!!飛んでるところだったけれど、生で見れてうれしい!!」

 

 

四通目、五通、十通、百通、千通、一万通!!!!

 

 

世界中からどんどんとメールが来た!!

 

 

 

いろんな国から届いた、男の子から女の子から!!

 

 

 

そして大人からも届いている!!!

 

 

 

あっちの空へ飛んでいったよとか、こっちの空へ飛んでいったよとか。

 

 

 

しかし、気になるのは誰のところにも彼は降り立っていないようなのだ。

 

 

 

 

「もう、なにしてんのよ…どうせ幻なのだからみんなのところに降り立って夢と愛情を配りなさい」

 

 

 

 

「嫌だ、俺はお前だけのサンタだからな」

 

 

 

 

 

あの頃よりも大きくて力強い手が私の肩をつかんだ。

 

 

そしてあの頃よりも低い声で、

 

 

「メリークリスマス!!」

 

 

ありえない、そんなわけはない彼は幻なのだから…。

 

 

そんな風に思いながらも一生分使い果たしたと思った涙があふれてきて、振り返っても彼の姿がぼやけて見えない。

 

 

「泣きすぎだばーか」

 

 

そういうと、彼はそっと袖で涙をぬぐってくれた。

 

 

 

彼がいる。

見えている。

声が聞こえる。

触れている。

 

 

好き、大好き、愛してる、もう絶対離れたくないそんな気持ちがどんどんとあふれてくる。

 

 

 

「なんで…どうして…」

 

 

泣いてるせいでほとんど声を出せないなか、どうにかそれだけ聞けた。

 

 

「存在とは認知である!世界中のひとがそこにいると思えばそれはそこに存在するのであると、昔のどっかの学者が言っていた!!だから俺はここに存在しているのだ!!!……なんて、そんなことあるわけない!!!!俺だってわかんねえよ!!!俺消えちまったはずなのに!!」

 

 

本当に驚いて不思議がっている顔をしているが、でも笑っている。

 

 

笑っている彼を見ていたらなんかいろいろどうでもよくなってきてしまった。

 

 

「俺、自分がサンタクロースだったからプレゼントってもらったことないんだよ!生まれて初めてのクリスマスプレゼントかもしれない」

 

 

そういって特大の笑顔を向けてきた。

 

 

「そうだね、神様からのプレゼントだね」

 

 

私も思わず特大の笑顔で返してしまった。

 

 

すると予想に反して彼の反応はきょとん顔である。

 

 

「何言ってんだよ、お前からのだろ?お前が頑張ってくれたんじゃないか」

 

 

そう言われてしまった…。

 

 

さすが私の理想のサンタクロースで、理想の友達で…理想の彼氏である。

 

 

私が喜ぶところを素でついてくる。

 

 

 

 

なんか悔しいけど、大好きで仕方がない。

 

 

 

 

 

「ありがとうな」

そしてこのタイミングで、最上級の笑顔にのせたありがとうの言葉だ…。

 

 

 

 

「どういたしまして…」

 

顔を真っ赤にしながら、それだけ返すので精一杯だった。

 

 

 

 

そこからはこの数年でたまりにたまった話したいことをとめどなく、笑いながら話した。

 

 

 

「なぁ!!東側見て!!!」

 

気付かなかったけれど、うっすらと空が白んできていた。

 

 

「初めて一緒に夜明けの空を見るな!!」

 

嬉しそうに彼は言う。

 

 

「…え!?もう朝なの!?消えないの!?!?」

 

 

「え、あぁそうみたいだな…消えないな」

 

 

太陽の光の下で初めて彼の姿をみた。

 

 

きらきらと輝いているそんな気がした。

 

 

私はもう一度泣きながら彼に抱き着いた。

 

 

あたたかい彼に、大きな手の彼に包まれて、

 

 

朝日がすっかりと全身を空に浮かべる頃には、私はまたクリスマスが大好きになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

その翌年のクリスマス、毎年悪い子だった私はサンタクロースにプレゼントをもらったことがなかったけれど、初めてプレゼントをもらった。

 

 

 

 

さすが理想のサンタクロース…左手の薬指のサイズもしっかり把握しているらしい。